Spatio-temporalに精度の高い眼球運動の記録を求める試みは技術の進歩と手を携えて実現されてきた歴史がある.しかしながら市場で入手できる測定機器は極めて高価であるにもかかわらず研究者の要求を満足させるのに充分な精度があるとはいえない歴史が続いてきたことも事実である.本研究では,そのような隘路を研究室の中で開発された高倍率光学系を用いた超高精度デジタル計測手法による記録で得られた中に 1Hz, 8-10Hzにピークを持つ律動的眼球運動が記録された例を紹介する.この律動的眼球運動は人間の心肺活動と同期していることは想像に難くないが,その原因がバルサルバ・マヌーバに起因する交感神経系の賦活によって生じることを狙撃手の訓練教則の例を用いて説明する試みを紹介する.
(本研究の一部は京都ノートルダム女子大学の学術助成を受け2013年8月にスエーデン・Lund大学で行われた第17回ヨーロッパ眼球運動学会シンポジウムにおいて発表された)
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