サイモン効果とは、空間的な刺激-反応適合性効果に関連する現象である。具体的な例では、右(左)側に提示された視覚刺激に対して同側の右(左)手で反応する場合に、反対側の左(右)手で反応する場合よりも反応が早くなる。本研究は、色弁別反応を含むサイモン課題において、課題に関連する色情報の出現と、課題に関連しない位置情報の出現の時間差を操作し、サイモン効果における時間特性を調べることを目的とした。また、水平方向と奥行き方向の間で時間特性を比べることも目的とした。実験1では水平方向における効果を検討した。被験者は、赤または緑の色パッチの色に応じて左右のボタンを押す課題を求められた。凝視点に対する刺激の出現方向と反応手が同じ方向である場合を適合条件、逆である場合を非適合条件とした。色と位置の出現時間差SOAを0, ±100, ±200, ±300msの7水準に設定した。実験の結果、サイモン効果はSOA0~+200msの場合に生起した。このSOA区間では全体的な反応時間も増大した。実験2では両眼立体視による奥行き方向における効果を検討した。刺激の視差量は交差・非交差視差で5.2’だった。サイモン効果はSOA 0〜+100msの場合に生起し、水平方向の場合に比べると効果量は小さかった。全体的な反応時間が増大する傾向は明瞭ではなかった。これらの結果をサイモン効果の発生機構と注意機能の観点から議論する。 |