中級論文・卒業論文の執筆にあたって
〜「執筆・投稿の手びき」の活用法(2015年改訂版対応バージョン)〜

どこを参考にすればいいの?全部従わなきゃいけないの?

主に第1章「論文を書くにあたって」と第3章「『心理学研究』の投稿原稿の作り方」(特に3.3「本文」以降)が関連します。その他,第2章の2.2.2「剽窃」,付録1「単位記号」,付録3「『心理学研究』投稿のためのチェックリスト」,付録5「倫理チェックリスト」の一部も関連します。なお,この「手びき」は投稿時の原稿の書式を説明したものなので,論文雑誌に掲載される出来上がりの状態とは少し違う部分もあります。特に表・図に関しては異なる部分があります。詳しくは後述しますが,皆さんが書く論文では,基本的に

「雑誌『心理学研究』に掲載されている論文と同様の書式」

を作るようにしてください。実際に『心理学研究』を手にとって,脚注や引用,図や表の書式を確認することをお薦めします。ただし,段組みについては,雑誌に掲載されている論文は2段組みになっていますが,皆さんは1段組みにしてください。

総ページ数の制限など,『心理学研究』の論文に特有の話は,中級論文・卒業論文を書く皆さんには関係ありません。何ページになろうと,必要な内容を書ききってください。基本的に,形式・体裁については厳密に,分量・大きさについては適宜柔軟にという原則です。

第1章「論文を書くにあたって」

基本的に全部読んでおく必要があります。ここに書かれていることは,読みやすい論文を書くために必要なことばかりです。ただし,「利益相反」についての記述は必要無いでしょう。

第3章「『心理学研究』の投稿原稿の作り方」

ほぼ全て,必要なことです。ただし,3.1「論文の種類,形式と長さ」および3.2「論文情報」はほとんど関係ありませんね。ただ,3.2.1「表題」は参考にしてください(とはいえ,それもあまり関係ないでしょう)。

3.1.2 「論文の形式」

ページ内の行数・文字の大きさ・ページの余白等の書式は,厳密に手びきの通りにする必要はありませんが,読みやすさのためにはこのような体裁が最適です。ただし,文字は少し大き目がいいでしょう。例えば,本文の文字は11〜12ポイント程度を推奨します。当然,見出しはそれに応じた大きさにすべきです(本文より小さな見出しは変ですよね)。

なお,Microsoft Word等のソフトを使う場合,1行の文字数を指定しないでください。これをやってしまうと,字間が不規則に間延びしてしまい,非常に読みづらくなります。文字間隔はWordに任せて,行の間隔だけを自分で指定してください。1ページあたりの行数の設定も不要です。行の間隔を設定すれば1ページあたりの行数は自動的に調整されますので。

3.2 「表題のページ」

表題は1ページを割り当てた方がいいでしょう。章題(章扉)は,独立したページにしてもしなくてもかまいません。3.2.2,3.2.3はおそらく関係ないでしょう。著者名を書かなくていいということではありませんが。3.2.4もおそらく関係ないと思いますが,脚注も「雑誌掲載時の論文の体裁」を作ってください。

3.3「本文」〜3.6「引用・言及」

全てここに書いてある通りに体裁を整えてください。全部覚える必要はありませんが,原稿執筆前に一度は通して読んでおき,執筆中に適切な箇所を参照しながら体裁を統一できるようにしておくことをお薦めします。

3.7 「表」

雑誌に掲載された論文と同じ体裁」という原則に則り,本文中の適切な位置に,適切な大きさで挿入してください。それができない場合などは,別紙に載せるのももちろん構いません。表の番号・タイトルなども位置・大きさ・配置をバランスよく整えてください。表のタイトルは表番号の横に続けて書いても構いません。

この後の図とともに,特に気をつけて欲しいのはページ中の配置です。掲載するページの中で,上か下に寄せてください。上にも下にも本文があるような配置にはしないように。

3.8 「図」

図も表と同様です。できるだけ本文の適切な位置に,適切な大きさで挿入してください。図についても,事情に応じて別紙に載せても結構です。

3.8.2「図作成上の一般的注意」のうち,「(2) 図の言語」については,皆さんの場合日本語にしてください。

図の色について。基本的に白地に黒線・黒点です。背景が薄いグレーで線と点が濃いグレーなどという組み合わせは避けてください。一つの図に多くの線が入る場合は,線の種類(実線・点線・一点鎖線など)で変化をつけてください。色つきの図は極力避け,たとえ色を使うとしても,白黒でコピーした時になるべく情報が失われないような工夫をお願いします。将来,みなさんの後輩がみなさんの卒業論文を参考にするためにコピーする時,白黒のコピーでは何が何だかわからなくなるようでは困りますので。

3.9 「引用文献」

このセクションの内容は,特に注意して遵守してください。初級実験のレポート・中級論文でこの部分がまともにかけていた人は非常に珍しく,皆無と言っていいくらいです。これも「雑誌掲載時の体裁」を作ってください。英語文献・日本語文献ともに細かく体裁が説明されています。

かなり前の中級論文・卒業論文では,ページごとに本文中で引用した文献を脚注として載せていました。この時期の先輩の論文の形式を参考にしないでください。今はこの「手びき」の形式にある通り,「引用文献は本文の次に一括して示す。」という形式になっていますので注意してください。

補足

句読点って「,」と「.」じゃなきゃダメなの?
→ そこまで細かくは言いません。

句読点を「,。」にするとの決まりが書いてありますが,これについては無理に従わなくても構いません。つまり,たとえば「、。」でも構いません。設定の変え方がわからない人がそこでつまずいて時間をかけるくらいなら,そんなことより中身に時間をかけましょう。ただし,自分の論文の中では統一するようにしましょう。教員から添削してもらったところだけ句読点が違ったりすることもありますのでご注意を。

キーワードは必要なの?
→ 日本語のキーワードをつけてください。

英語のアブストラクトとキーワードを云々と書いてありますが,中級論文・卒業論文・修士論文では日本語でキーワードをつけてください。3〜5語程度,自分の研究内容を端的に表す語を選んでキーワードとしてください。キーワードの表記が英語の方が良いと判断した場合は英語で構いません。その場合でも,できれば日本語訳を併記してください[例: theory of mind (心の理論)]。

論文の表紙ラベルを製作する際に,フォーマットデータの中にこのキーワードを記入するのを忘れないでください。最低でも,本文には絶対にキーワードをつけてください。

図と表はFigureとTableにしなきゃいけないの?
→ 「図・表」でかまいません。もちろん,タイトルも日本語でかまいません。

心理学研究の論文は,海外の研究者が見ても最低限の情報が得られるようにアブストラクト・キーワードと図表を英語で作成するように指示していますが,これも皆さんには適用されません。日本語でどうぞ。