実験を行う際の注意事項

中級・上級(卒論)などの実験を行う際に注意しなければならないことを挙げておきます。これらのことに十分留意してください。

実験の準備

あまりにも当たり前のことですが、敢えて書きます。

実験の準備ができていない状態で実験参加者を募集するのは無謀です。

実験参加者が明日来るというのにまだプログラムが動かないとかいうのは絶対にあってはならないことです。ましてや、それでも間に合えば一応はなんとかなるにしても、実験参加者が来てくれたときに「すいません、実験の準備が間に合わなくて…」とお帰り願うなど言語道断です。

実験をコンピュータで行う場合

まず、一通りの実験手続きを自分で行い、プログラムが問題なく動くことを確認してください。できれば何度も繰り返して、さまざまな状況をテストすることが望ましいでしょう。売り物のソフトでさえバグがあるのですから、自分が作ったプログラムがいきなりノーミスで完璧に動くなどとは思わない方がいいです。

一見うまく動いたようにみえる場合でも、そのプログラムがデータを書き出すものであれば、そのデータファイルのチェックも忘れずに。意図した形式と全然違うファイルができていたり、試行の順序がおかしかったりということもあり得ます。ランダムにしたつもりがランダムでなかった、試行数が揃っていない、などなどの問題はデータファイルをチェックしないとわからないこともあります。

後々どのような処理をするかを考えてデータファイルの形式を決めておくと、データ処理の際にいらぬ苦労をしなくて済みます。最終的にどんなデータにまとめるのか、そのためにはどんな形式のローデータがとれればいいのかを考えてプログラムを組んでみてください。

実験参加者募集の方法

修論・卒論・中論の実験に参加してもらうために、いろいろな授業の受講生に募集を行うことがあると思います。その場合、注意してほしい点がありますので、以下の事項を読んでしっかり準備したうえで滞りなく行うようにしてください。

まず、先生・受講生に対して授業という大事な時間を割いていただくということを忘れずに。従って、募集にかかる時間ができる限り少なく済むような工夫をしてください。つまり、アンケートのようにある程度回答時間をとらなければいけないようなものはあまり歓迎されないということを理解した上で、それでもアンケートをさせていただくときには特に入念な準備が必要です。

実験参加者募集について先生にお願いしに行くのはなるべく授業の直前ではなく、ある程度余裕を見て遅くとも前日までにする方が良いでしょう。当日、ましてや直前では突然過ぎます。

授業の開始時にアンケートを配布して、「後で回答してください」というのはおよそ無理な相談です。たいていの場合、学生は即座に回答を始めてしまいます。授業を妨げるような形式では、「もう協力したくない、次からは来ないでくれ」と言われかねません。

実際の募集にあたっては、以下の点を注意してください(特に3点め)。

いざ募集のために授業中の教室に入ってから言うべきことを忘れてしどろもどろになったり、うつむいたまま小さな声でぼそぼそと話していて何を言ってるのかわからなかったりという人もいました。これでは実験に参加する気も起きません。顔を上げて、はきはきと話し、必要な情報をしっかり伝えるようにしてください。

心理学講座の教員が担当している授業では直接その教員にお願いしても構いませんが、非常勤講師の先生が担当されている授業や、心理学講座以外の授業に募集に行きたい場合は、まず自分の指導教員に相談してください。他講座の授業で募集をさせてくれるのは単なる厚意です。甘え過ぎるわけにはいきません。次から次へと殺到すれば迷惑になってしまいます。

例えば、同じ日に3人も4人もが募集に行くのなら、挨拶は各人がした上で、募集には全員分の実験への参加意思を問う形のアンケートにするなどして、募集作業を単純化するといった方法が考えられます。その場合、「記入していただいた個人情報はこの○人の間のみで共有し、他には決して漏らしませんのでご安心ください」などという配慮が必要でしょう。そして、もちろんそうやって集めた個人情報を実際に厳重に管理しなければならないことは言うまでもありません。その点については次で。

情報の扱い

実験参加者に連絡をとるため、電話番号などの個人情報を書いた紙を集めることがあるはずです。この紙を控え室に無造作に放置してあるのをよく見かけます。これは絶対に止めてください。せめてロッカーにしまってください。

アンケートも同様です。無記名なら…といっても、やはり大事なデータです。管理には慎重の上にも慎重を期してください。

アンケートの回収に「廊下に設置した回収箱に入れてください」という方法をとることもありますが、この「回収箱」が問題です。もちろん金庫にして…とまではいきませんが、箱を破壊することもなく誰でも簡単に中身を見られるような形の箱・袋では困ります。少なくとも挿入口が小さくて、一旦入れたら箱を壊さない限り出せないくらいの配慮はされているものを用意してください。