★高コントラストほど視覚の時間進行は速くなる
薄い灰色と濃い灰色の縞模様の背景上を白と黒の刺激が等速運動するのを観察すると,あたかも両足が交互に進むように知覚される.この錯視現象(フットステップ錯視)は,視覚対象の処理速度は背景とのコントラストが高いほど速くなることに基づくと考えられている.すなわち,濃い灰色の上では黒よりも白の対象の処理速度が速くなり,薄い灰色の上では逆に白よりも黒の対象の処理速度が速くなるため,白と黒の対象の速度が交互に速くなったり遅くなったり見えると考えられている.今回のデモでは,縞模様の背景が見えている間は白と黒の刺激が異なる速度で移動し,縞模様が見えなくなればそれらが同じ速度で移動して見えるであろう(Flashによるデモファイルはこちら.中央下方の●が注視点).
なお,この効果は周辺視野においてより強くなる.また,縞模様の周期は高いほど(縞模様が細かいほど)錯視は起こり易い.錯視が分かり難い場合,画像が提示されているスクリーンから数メートル離れ,スクリーンの枠外を注視しながら観察すると良いかもしれない.